中世とビートメイクの融合、teenage engineering EP-1320 medievalレビュー

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キミも、ネオ中世ミュージック、やらないか?

音楽家の遊び心をくすぐらせたら世界一、teenage engineeringから本格ビートマシンEPシリーズの第二弾、EP-1320 medievalのご紹介です。

ビートマシンに中世の世界観を持ち込んだ意欲作で、明らかに今までに無かったコンセプトの製品です。

最後まで読めばきっと欲しくなる、キワモノなガジェットに止まらない、楽器としての個性をしっかり持った革新的なビートマシンですよ!

EP-1320 medievalの詳細はこちら

EP-1320 medieval

EP-1320 medievalは、中世ヨーロッパをコンセプトに開発された、ケルト系のサウンドを中心に収録したビートマシンです。

雰囲気・サウンド共に今までにないビートマシンに新しさを感じる反面、不思議とどこか懐かしい感じもするので、なんとも言えない不思議な世界観を作り出しています。

ぱっと見は、大きめの電卓もしくは携帯ゲームみたいなデバイスにも見えるので、電車や飛行機の中でヘッドホンをつけてビートメイクしていても、一般人には何をやっているか絶対に謎でしょうね。

思いついても普通はやらなさそうなことを実際に製品化して、魅力的なデバイスに昇華できるのは世界広しと言えどteenage engineeringだけだと思います。

 

こんな人にオススメ

  • 中世ヨーロッパ、ケルト系の楽曲が好き
  • 個性的なドラムマシンが欲しい
  • 極力付属品などを持ち運ばずにビートメイクを楽しみたい

そんな遊び心満載のEP-1320 medievalですが、機能的にはかなりの本格派。というか、めちゃくちゃ多機能です。

使いこなすのが難しいというわけではないのですが「こんなにできる事があるの!?」といった感じ。

サウンド

動物の鳴き声や、剣と剣がぶつかり合う音、ハーディガーディなど中世サウンドの他に、一般的にビートマシンが収録しているキックやスネア、シンバルなどもあります。

ゲーム音楽で言うと、ファイナルファンタジー、グランブルファンタジーなどの楽曲が好きな方はドンズバです。その他、大魔界村やモンスターハンターなどの雰囲気も連想できましたね。

敬愛するノビヨ師匠(植松伸夫氏:ファイナルファンタジーなどの作曲者)は絶対お好きなのでは?と感じました。

デバイスとしての魅力

まず見た目が良いですね。大きめの電卓のような外観に、レゴブロックのような硬質プラスチックなボディ。

ボタンの押し心地は軽すぎず重すぎず、良い塩梅です。安っぽさはありません。

個人的な好みもありますが、デバイスとしての完成度は100点満点です。ガジェット好きは理屈抜きで欲しくなるでしょう。

圧倒的な満足度で所有欲を満たしてくれること請け合いです。

スピーカー内蔵というアドバンテージ

EP-133 K.O.IIや、OP-1 Field、ポケットサイズのPOシリーズもそうですが、スピーカー内蔵はやはり有難いです。

思い立った時に即座にビートメイクできるフットワークの軽さは何にも変え難いものがあるなぁと。電源ポンで数秒後にはビートメイクが開始できるのは快感です。

このように手軽な機材は自ずと使う機会が増えるし、日々の積み重ねが”使いこなし”につながるので、デバイスの性能を引き出せる可能性も高くなるんですよね。

もちろんアウトプット端子から外部スピーカーやヘッドホンでモニターした方が良い音で鳴りますが、内蔵スピーカーの若干チープな音質がガジェットっぽくてかえって良い。

めちゃくちゃ音が良いけど重たいソフトシンセより、音は普通だけど軽いソフトシンセの方を好んで使ってしまうことはありませんか?スピーカー内蔵のデバイスはそれに似た感覚がありますね。

「手軽さ」はクリエイティブに直結するので、長く付き合っていく機材ですし、大きな差につながるのではないかなと感じています。

電池駆動可能

電源はUSB-C経由での電源供給に加えて、単4乾電池4本で駆動可能です。

電池を使用すれば電源コード不要なので、本体だ けを持ってソファにゴロンでもビートメイク可能というw最高オブ最高。

完全にコードレスになれるのは旅先などでも、めちゃくちゃスマートですよね。

サンプラー性能

もちろん、一般的なサンプラーとしての機能も有しており、デバイスに搭載されているマイク、インプット入力に加えて、公式ウェブアプリのSAMPLE TOOLを使用するとPCから直接サウンドを取り込むことが可能です。

No.221〜778まで空いているため、容量の許す限りサンプリングすることができます。

また、アプリ上からサウンドをトリミングするなど、細かいSOUND EDITも可能なのが嬉しい。

USBケーブル接続するだけで使用できる手軽さもいいですね。

パンチインポーカス

EP-1320 medievalの特徴のひとつがパンチインポーカス(魔法)と呼ばれる、エフェクトをトラックの好きな部分にだけかける(パンチイン)ことができる機能です。

Rock oNさんの動画が非常に分かりやすいのですので是非ご覧ください。

EP-133 K.O.Ⅱとの違い

機能的な違い

サンプラーとしてのキモの部分である、サンプリング容量が異なります。

  • EP-1320 medieval・・・128MBのROM+RAM搭載 (96MBのROMサウンドと32MBのユーザーサンプルメモリ)
  • EP-133 K.O.Ⅱ・・・64MBメモリー 、999サンプル・スロット

EP-1320 medievalの方が容量的に大きいのですが、プリセット部分が大半を占めているため、実質サンプリング使用可能領域は32MBのみです。EP-133 K.O.Ⅱは、プリセットを全て消せば64MBフル活用可能。

サンプリングを徹底的に楽しみたいという方にはEP-133 K.O.Ⅱにアドバンテージがありますが、なんといってもEP-1320 medievalの魅力は唯一無二の世界観なので、好みが分かれそうですね。

エフェクト部は、EP-1320 medievalならではの「ダンジョンエコー」「拷問室の残響」「吟遊詩人のアンサンブル」など中世のサウンドとマッチするものが用意されています。

また、EP-133 K.O.Ⅱには無かった機能として、EP-1320 medievalにはデモソングが9曲収録。

ひと昔前のハードウェア音源にはデモソングは当たり前に収録されていたのですが、最近はそういった製品もすっかり少なくなってしまった印象です。

デモソングを一通り聴くことで、どんなサウンドが収録されているのか、どんな事ができるかがまんべんなく確認できるのは非常に有効なのではないでしょうか。

デモソングを鳴らして、パンチインポーカスで遊ぶところから始めても良いかと。

見た目の違い

EP-133 K.O.Ⅱは、モダンで、メカメカしい感じでしたが、基本デザインは同じとは言え色合いも違いますし、雰囲気はかなり異なります。

文字は英語ではなくラテン語表記なので、一見何が書いてあるか分からず少々混乱しますが、繰り返し使っていくうちに意外と覚えられるのでそれほど気にならないですね。

これは余談で、勝手な妄想ですが、EP-133 K.O.Ⅱは「pocket operator」シリーズのPO-133 K.O.の第二弾です。

PO-133 K.O.は、ストリートファイターIIとのコラボ製品である「PO-133 Street Fighter」がリリースされているので、世界的大ヒット中のストリートファイター6とのコラボもまた見られるかもしれない…?なんて思ったり。

参考記事:Teenage Engineering「PO-133 Street Fighter」レビュー

また、EP-133 K.O.ⅡとEP-1320 medievalは同期演奏もできるので、両方所持するとビートメイクの可能性が一気に広がります。

もちろん、MIDI端子経由でその他のシンセサイザーやDAWと組み合わせて使用することもできます。

さいごに

「中世」と「ビートメイク」という、一見かけ離れたものをひとつのビートマシンとして昇華させてしまったのは、teenage engineeringからの新しいサウンドへの提案ではないかと感じました。

EP-1320 medievalのサウンドを聴いて「楽しい」と感じられた人はきっと、新時代のサウンドを手にすることができるかと。

サウンド的にも機能的にも少々クセが強めではありますが、唯一無二の世界観を持つとても魅力的なビートマシンです。

クセが強過ぎるなぁと感じた方は、EP-133 K.O.IIをチェックしてみてください。

見た目はガジェット感強めですが、中身は高性能ビートマシンなので、本格的な打ち込みにチャレンジしたい方、ビートマシンに興味がある方のはじめの1台としても自信を持ってオススメできます。

触っているだけでも時間が溶けていくEPシリーズは是非多くの方々に手にとって欲しいと思える製品です。

ではでは。

EP-1320 medievalの詳細はこちら

EP-133 K.O.Ⅱの詳細はこちら

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