高品位なペダルエフェクターで有名なEventideから、次世代技術を搭載した、SplitEQ がリリースされました。
Eventideの特許技術「Structural Split Technology」によってトランジェントとトーナルを別々に処理できるのが本製品の大きな特徴です。
従来のEQでは不可能だったことが可能になったことでEQそのものの概念を変えてしまった、革命的な製品といえます。
SplitEQ
音・性能・特徴・使い方
SplitEQ の特徴は、
- 8バンドパラメトリックEQ
- 各バンドでトランジェントとトーナルを別々にコントロール可能
- 各バンドでL/RおよびM/Sのパンニングコントロールが可能
- 150 以上のプリセット
- 直感的操作性のUI
といった要素がありますが、最大の特徴は入力ソースを「トランジェント」と「トーナル」に分けて操作できることです。
トランジェントとは、音の輪郭やアタック成分を指していて、トーナルとは、音色やサスティン成分を指しています。
トランジェントシェイパー というエフェクトではアタックとサスティンの音量を調整できますが、それを更に帯域別に処理できるイメージです。
従来のEQであれば、例えばボーカルの高域をブーストした際にきらびやかな音(トーナル)と併せて歯擦音やキンキンした音(トランジェント)も強調されるので、ディエッサーやダイナミックEQを併用して、欲しい高域だけが残るような処理が必要でした。
SplitEQ であれば、高域のトーナルだけをブーストすることで、歯擦音などのトランジェントは強調させずに、きらびやかにできます。
あるいはキックのブーミーなサスティンだけをカットしたり、スネアのスナッピーのアタックだけを強調したり、
ギターの中域をこもらせずに音を太くしたりと、これまで難しくて悩んでいた処理が一発で出来てしまいます。
音質も上品で、積極的な処理でもバランスを崩しにくいです。
また、初心者の方にも扱いやすいように直感的な操作性にも優れています。
トランジェントとトーナルのスペクトラムが独立しているのでピークを判断しやすく、また、それぞれソロの音をバンド毎に確認できるので、効果が分かりづらい場合は、とりあえずソロモードで確認すれば迷いも少なくなります。
他には、パンニング設定をM/Sモードにもできるので、例えばドラムのオーバーヘッドトラックに対して高域のトーナルだけをサイドに振って広がりを強調するなど単なるEQに留まらない処理が可能です。
処理例
解説動画では、以下の処理例を紹介しています。
- ボーカルの高域をキンキンさせずに強調する
- キックのブーミーなサスティンを抑える
- ギターの中域を自然に太くする
- パーカッションの距離感を後ろに下げる
今までは上記のような処理をするには複数のプラグインを使って複雑な操作が必要でしたが、SplitEQであればシンプルな操作で同様の処理が可能です。
改善してほしいポイント
バンド数が8だと少し物足りない感じがしました。
ダイナミックモードも搭載してないのでこれ一つでどんな状況にも対応、という訳にはいかないのが惜しい所です。
CPU負荷
CPU負荷は少し重めで、レイテンシーが結構あります。(3592sample)
1つ挿したときにCPU使用率3%ほど、10個挿して10%ほどでした。
OS : macOS Big Sur 11.6
CPU : 3.6 GHz 8コアIntel Core i9
メモリ : 40 GB 2667 MHz DDR4
DAW : Cubase Pro 10.5
バッファサイズ : 512samples
サンプリングレート : 48kHz
ビット解像度 : 32bit float
オーディオIF : Antelope Discrete 8 SC
まとめ
『EQを超えたEQ』『次世代のEQ』『EQ界のスーパーサイヤ人3』という印象です。
トランジェント処理を帯域毎で行えることが、こんなにも効率的なワークフローを可能にするのかと驚きです。
普通のEQとして使っても高品質ですし、当然トランジェントシェイパーとしても機能しますし、これ一つで本当に色んなことができるので、クリエイティブ心をくすぐるEventideらしい製品だと思います。
この『次世代感』、是非一度体感してみてください。
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