2014年に設立された、比較的新しいアメリカのデベロッパーGoodhertz社のMegaverbについてレビューさせていただきます。
Goodhertz社のことはMegaverbに触れるまで知らなかった筆者ですが、Megaverbを使ってみて一気にファンになりました。
Goodhertzがリリースしているプラグインの特徴として、70年代ロック、サイケデリック、ファンクなどと相性が良さそうなアナログ感が強く出ている製品が多く、今回紹介するMegaverbも80年代のハードウェアデジタルリバーブをエミュレーションしているとのこと。
では現代的なサウンドを作るには不向きかというと全くそんなことはなく、ジャンル関係なく使いやすい製品になっています。
Megaverb
GUIはアナログ感をフィーチャーしている製品にありがちなハードウェア寄りのつまみではなく、スライダー操作でシンプルです。
GUIからはそこまでアナログ感のある音には思えませんが、音を聞いてみると太く温かみがありつつ、後述するLoFiを使わなければシンプルな響きでどんな素材にも馴染みやすいです。
4つのモードがあり、音の立ち上がりや反響の仕方を選べ、ディケイ、プリディレイ、ダンピング、フィルターといった基本的なパラメータは細かい設定要素がないので操作感は非常に快適です。
そして本製品の大きな特徴のひとつであるLoFiには、アナログとデジタルの二つのコントロールがあります。
初期のデジタルリバーブは、ビット数が低い状態でデジタル化されたことによる「音質の悪い音」が、逆に特別なサウンドの要素であるとのことで、そういった初期のデジタルサウンド具合を調整できます。
”アナログ”はハードクリップなサチュレーションが付与され、”デジタル”は低ビットレートのノイズが付与されていきます。
リバーブテクニックで「歪みを足して存在感を作る」という手法を見かけますが、Megaverbではこういった質感調整を簡単に行えます。
最初は隠れているアドバンスコントロールではゲートの詳細設定やステレオイメージ調整が行えます。
ゲートリバーブ特化のプリセット
80年代リバーブの再現がコンセプトのMegaverbですが、特におすすめしたいのがゲートリバーブとしての用途です。
ゲートリバーブとはリバーブの残響音をバスっとカットしたリバーブのことで、その独特な音が80年代に流行ったのですが、効果的に使うことで現代的なサウンドにも問題なく使えますし、スネアの音像を大きくしたい場合には特におすすめです。
Megaverbはゲートリバーブのプリセットが他のリバーブプラグインより多く収録されていて、中でも”Historical”カテゴリにはDavid BowieやPhil Collinsといった80年代を代表するアーティストの曲名のプリセットがあり、あの時代サウンドが一発で作れるようになっています。
ここまでゲートリバーブに特化したプラグインは少ないと思うので、ゲートリバーブ用として使っても全然ありな気がします。
CPU負荷
1個インサート時のCubase負荷は3%程度で、軽い部類です。PluginDoctorで測るとバッファサイズが10msほどでした。
- OS : macOS Sonoma 14.1
- CPU : Mac M2 12コア
- メモリ : 64GB
- DAW : Cubase Pro 12
- バッファサイズ : 2048samples
- サンプリングレート : 48kHz
- ビット解像度 : 32bit float
- オーディオIF : Prism Sound Lyra1
まとめ
いわゆる万能系のプラグインではないですが、基本の音色はシンプルで上質なサウンドなので非常に使いやすく、それでいてゲートやLoFiといった他のリバーブとの差別化もしっかりできるので選択肢の一つとしておすすめできる製品です。
特にゲートリバーブのプリセットは一聴の価値がありますので是非お試しください。