Xfer Recordsからリリースされたソフトシンセの最新版、SERUM 2をご紹介します。
SERUMといえば、EDMをはじめとするあらゆるジャンルで広く使われている定番中の定番。そのセラムが、10年以上の時を経て、ついにバージョンツーへと進化を遂げました。
今回は、初めてシンセを触る方にもわかりやすく、そして初代SERUMを使っている方にとっても参考になるよう、アップデート内容や注目ポイントを丁寧にレビューしていきますので、是非最後までご覧になってください。
SERUM 2
世界で最も人気のあるソフトシンセのひとつと言われるSERUMですが、そもそもなぜそこまでの人気を誇ったのでしょうか?
理由は次のとおりではないかと。
- リリースから10年以上定番のシンセとして第一線で使用され、広く認知されている
- 世界中の著名なプロはもちろん、多くのディーティーエマーが使用しており圧倒的なユーザー数を誇る
- ユーザーが多いため、チュートリアルやレビューが豊富で知見を得やすい
- プリセットも有償無償問わず多数ある
海外掲示板でも、品質の高さはもちろんのこと、その使いやすさからもはじめてシンセサイザーを買うならセラム、という意見が多いです。
そんなベストセラーシンセサイザーのSERUMがバージョン2に進化し、従来のセラムの高音質・柔軟性・視認性といった特長を引き継ぎつつ、より進化した操作性と音作りの自由度を実現しました。
新しいインターフェース、追加された機能、豊富なプリセット、そしてなにより、より深い表現力を持つサウンドエンジンへとパワーアップ。
初代SERUMの「分かりやすさ」「見やすさ」はそのままに、さらに多くのことができるようになった、そんな印象がありますね。
また、今回10年以上ぶりの大型バージョンアップとなったわけですが、初代ユーザーは無償でアップデートが可能です。
セラムは、ライフタイムフリーアップデート、つまり生涯無料アップデートの製品なので、今後も費用が発生することはありません。
将来にわたってのお布施が不要という!これは本当にありがたい方針です。
そして、アップグレードした後も初代SERUMは引き続き使用可能なので、アップデートしても初代とバージョン2が同居する仕様です。
よって、初代SERUMを使用しているプロジェクトファイルに問題が起こることはありませんので、即座にアップデートしても問題無しです。
SERUMもSERUM 2も使い分け可能とはいえ、あくまで移行のための対応ですので、今後新たに使用する場合はSERUM 2を使用するようにしましょう。
なお、初代SERUMのサポートは終了しています。
新機能について
画面をご覧いただくと分かる通り、インターフェイスは少々横方向にサイズアップされ、一新されつつも直感的でわかりやすいまま。
グラフィック自体、よりカッコよくなった印象を持ちました。
サウンドエンジンの強化
SERUM 2では、オシレーターが2つから3つに増設されています。
また、初代SERUMはオシレーターの種類がウェーブテーブル波形のみでしたが、SERUM 2では従来のウェーブテーブルに加えて、マルチサンプル、サンプル、グラニュラー、スペクトラルの4つが追加されました。
マルチサンプルには、往年の名機ヤマハDXシリーズや、SYシリーズなどが収録されていたり、アコースティック音色のストリングスや、アコースティックピアノ、エレクトリックピアノ、クラリネット、トランペットなど充実したラインナップとなっています。
純粋なウェーブテーブルシンセから、サンプラー機能までも搭載したことにより、圧倒的な音作りの幅が広がりました。初代からは想像しえない強化ぶりです。
十分な量の波形やサンプルが用意されていますが、さらに外部の波形を取り込むことも出来るので、事実上音作りは無限と言って良いでしょう。
また、フィルターも1台増設され、1つから2つに増えました。
マクロも4つから8つに増設されているので、より複雑なコントロールや表現が可能となっており、LFOやモジュレーション機能は、より視覚的にわかりやすく、ドラッグ&ドロップで柔軟なルーティングができるので、サクサク音作りが進むこと請け合いです。
サウンドエンジンの部分だけでも、大幅に機能が増えていますが、初心者の方でも、複雑になりすぎず、必要な機能にすぐ手が届くよう設計されているので、初代と変わらず直感的な操作が可能なインターフェイスに仕上がっていますね。
各ルーティングのしやすさや、音の動きが視覚的に確認しやすいため、シンセサイザーを初めて触る方でも安心して使い始められる、そんな印象です。
ミキサーの搭載
初代SERUMには無かった機能としてミキサーが搭載されました。
これにより、各オシレーターの音量バランスや、パン、ルーティングなどの設定を素早く直感的に行うことが可能になっています。
オシレーターやフィルター、エフェクターの強化で音作りが複雑化しているため、ミキサーでの管理は迅速かつ正確にサウンドを把握できる頼もしい機能ではないでしょうか。
2系統のバスへのルーティングも行えるため、例えばエフェクトをかける音とかけない音を混ぜる、なんてことも1台で簡単に出来ます。今までは複数SERUMを立ち上げておこなわなければならないような音作りも、1台で完結できるというわけです。
音作りの際にプラグインを複数立ち上げるとどうしても混乱しがちですし、結果的にCPUの節約にも繋がるので、非常に嬉しい設計ですよね。
エフェクト機能
内蔵エフェクトも大幅にアップグレードされました。
新たに追加されたモジュールもあり、全13種類のエフェクターが搭載されています。初代SERUMでは、同じエフェクトは1つまでしか使用できませんでしたが、メインとバスにそれぞれ複数のエフェクトモジュールを立ち上げることが可能になったことで、より高度なルーティングを構築することができます。
これにより、サウンドデザインの最終段階までセラム内で完結できるようになっているというわけです。
初心者の方でもDAWのミキサーや、エフェクトを多用せずに、完成度の高い音を作ることができるのは頼もしいですよね。
CLIPモジュール
SERUM 2にはCLIPモジュールと呼ばれるDAWのMIDIコントロール画面さながらの機能が搭載されており、MIDIクリップの作成、微調整、再生を直感的に行えます。
CLIPモジュールにはおなじみのピアノロールが用意され、MIDIクリップを作成できます。簡易的なものというよりは、機能的にもかなりしっかりしているので、本格的なクリップ作成が可能です。
最大12のクリップバンクを使用できるので、音色に合わせて自分だけのオリジナルパターンを作成して保存しておいて、プロジェクトファイルを横断した便利な活用が期待できますね。
作成したパターンはDAWにドラッグ&ドロップもできますので、より細かく調整したり、他の音源で鳴らすなども超簡単に行うことができます。
アルペジエーターモジュール
アルペジエーターモジュールでは、あらかじめ用意されたアルペジオプリセットを適用して調整をしたり、新たにアルペジオパターンを打ち込み、カスタムパターンを構築することも可能です。
アルペジオパターンは最大12種類を同時使用することができ、アルペジエーターバンクに保存することが可能になっています。
音色に合わせて12種類のカスタムパターンを組み合わせると非常にクリエイティブですよね。
それでは最後にイチオシのプリセットを聴いて終わりたいと思います。
セラムツーになり、世間での人気を裏付けるサウンドと操作性はそのままに、機能的にも大幅にパワーアップしたことで、弱点らしい弱点が無くなりました。
さいごに
SERUMは、これさえあれば何とかなる!的なシンセサイザーなので、多くのかたにおすすめです。
• シンセサイザーに初めて触れるかたでも、直感的に音を作れる安心感。
• 中級者以上のかたには、柔軟な音作りと高い拡張性。
•そして初代セラムユーザーにとっては、今まで以上に快適で、より深く音に向き合える環境が整っています。
おすすめのシンセサイザーを一点だけ選ぶのであれば、SERUM 2は最高の選択のひとつになるのではないかと思います。
というわけで、今回Xfer Records SERUM 2のご紹介でした。
ではでは。
現在イントロプライス中なので、是非チェックを。