まものろKAI!〜まもるクンは呪われてしまった!〜発売記念企画 安井洋介氏インタビュー 【前編】

発売から17年が経過するも、いまだゲーム音楽ファンからの熱狂的支持を集めるシューティングゲーム「まもるクンは呪われてしまった!」のリメイクバージョン「まものろKAI!~まもるクンは呪われてしまった!~」が2025年9月25日に発売されます。

今回は「まものろKAI!」の発売を記念しまして、80~90年代のゲーム音楽を作らせたらこの人の右に出る人は居ない!といっても過言ではないゲームミュージッククリエイターの安井洋介氏(@yousukeyasui)にインタビューが実現しました。

まものろと言えばYO-KAI Disco、YO-KAI Discoと言えば安井洋介氏と連想する方も多いことでしょう。

今回は、YO-KAI Discoが生まれたきっかけや、「まものろKAI!」で書き下ろされた新曲への想いなどについても存分にお話いただきました。

なお、インタビューは前編・中編・後編の3つに分かれていますので、後日公開の記事もお楽しみに。

目次

安井洋介氏インタビュー(前編)

今回書き下ろされた待望の新曲、MEI-KAI Feaverは0:22~聴くことができるので是非チェックを。

「まものろKAI!~まもるクンは呪われてしまった!~」のリリース、おめでとうございます!初代から17年の時を経て新たに新曲をご担当されたわけですが、今のお気持ちをお聞かせいただけますか?

安井氏:ありがとうございます!まず、昔のゲーム機を持っていなければ遊べなかった「まものろ」が現行機で遊べるようになることが有難いなと思っています。曲だけ知ってもらっていて、ゲームやキャラクターのことなどを全然知らない方もいたりするので、遊んでもらえたら嬉しいなと。

曲に関しては、難題というか…やべぇ!って感じでした(苦笑)

「やベぇ!」と思いながらも「よろこんで!」っていう感じではあったんでしょうか?

安井氏:もちろん有難い気持ちはありつつも…正直、17年前に作っていたものに改めて関わるのはやっぱり大変でした。

例えば、細江慎治さん(@shinji_hosoe)に「ドラゴンスピリットみたいなのを作って欲しい」と求められるみたいな、昔評価されたものを再び求められる事って時々あると思うんですが、作り手は年齢と共に環境も価値観も変わりしますし、当時の若さで出来ちゃった事に改めて取り組む難しさもありますよね。

17年前と今では好きなサウンドが変わっているという部分もありますか?

安井氏:はじめは当時の「まものろ」っぽい音で作ろうかと考えたんですが、今回のオーダーは「PVやメニュー画面で使う用途として新曲を書きおろして欲しい」という内容だったので、特に過去のゲーム中の曲に合わせる必要もなかったのと、映像として作られるPVに昔のアーケードゲームっぽい音をそのまま流してもあまり映えないかなとも思って、現代のサウンドと織り交ぜた感じになりましたね。

なので YO-KAI Disco は踏襲しつつも、ゲーム中のステージ曲のような雰囲気ではなく、「まものろKAI!」のテーマソングを作る気持ちで進めました。

またその頃、機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)で聞いていた米津玄師さん(@hachi_08)の曲や、YOASOBIさん(@YOASOBI_staff)、K-POPなど、日常の中で耳にしている音楽からモチベーションをもらったりもしました。

楽曲制作に至る第一歩。続編の期待もありつつ、まさに生みの苦しみですね。

安井氏:目の前で取り組んでいるもの以外からも刺激やエネルギーをもらって、自分なりに置き換えて活かす事って、改めて大事だなと思いましたね。

キックの音がグッと前に出る感じが今っぽさもありつつ、でもしっかり「まものろ」ですよね。

安井氏:そうですね。まものろらしい、特徴的な音になっていると思います。

具体的なオーダーはあったのでしょうか?

安井氏:特に細かい指定はなくて、「第二のYO-KAI Discoが欲しい」っていう感じでした。

そういったオーダーが来ることは想像できますが…プレッシャーですよね。まるでYMOにRydeen 2を作って欲しいって言うような…(笑)

安井氏:そんな感じかもしれません(笑) 当時 YO-KAI Disco 自体も簡単に作れたものではなかったし、今の自分の状況とも大分違うので「難しいな…できるのか…?」と。

YO-KAI Discoはどのようにして生まれましたか?

安井氏:いくつかありますが、一つはテクノポップを意識して作っていました。

僕はYMOのリアルタイム世代ではないんですが、僕が好きなクリエイターの方々にはYMOから影響を受けた方が非常に多かったので、そういったルーツから影響を受けたテクノポップが YO-KAI Disco には現れていると思います。

演歌からも影響を受けたと何かで仰っていた記憶があります。

安井氏: まもるクンの楽曲を制作する前から「結界師」や「ナルト(NARUTO -ナルト- 激闘忍者大戦!)」のシリーズなど、”和”要素のあるゲームに関わることも多かったのですが、メロディーを作る際に、演歌のこぶしだったり、尺八などの独特な装飾表現を意識して入れるようにしていました。

また当時、和要素のあるゲームが他にも色々出ていたのですが、サウンド表現として琴や和太鼓、尺八といった楽器の音を、市販のサンプリング音源で鳴らしているのをよく耳にしました。

その頃はサンプリング素材の選択肢も少なくて、別のゲームから全く同じ音が聞こえる事が気になってしまう事もあったので、サンプル素材を避けて音階で表現するようにしていた部分もありました。なので源平討魔伝など、FM音源時代の和風ゲーム音楽の作り方を意識してやっていたところもあります。

それと、その頃ポップス方面でも和音階の入ったものが増えてきたと感じていて、例えばサカナクション(@sakanaction)の「アルクアラウンド」とか、マキシマムザホルモン(@MTH_OFFICIAL)の「ぶっ生き返す」とかですが、こういう動きがあるのもやっぱり日本人の琴線に触れるからだろうなと思ったりもしていたので、自分でもやってみたい所もありました。

なるほど。とはいえ、バランスが難しい気がします。完全に和に振り切るとコテコテした感じになってしまう。

安井氏:そうですね、全て和風で固めるのではなくて、例えば子どもの頃に聴いていた童謡とか、わらべ歌などから染み込んでいる和のエッセンスを見直してみたりしつつ、和とは関係なく自分が良いと感じる要素って何だろう?とか、多くの人に刺さっている要素って何だろう?とか、ぼんやり考えていた事が、ちょっとずつ反映されていると思います。

ということは、曲作りはイメージを先に考えるタイプですか?

安井氏:その時々で色々ですね。あくまでゲームに合わせて作るのは変わらないですが、サウンド的には、例えばテイトウワさん(@towatei)っぽい音で作ってみたいとか、単純に好きな音を真似てみる部分もありますし。

まものろKAI!では、ゲーム内の楽曲はもちろん、アレンジバージョンまですべて聴けるサウンドモードが搭載されており、さらに、ステージや場面ごとに好みのバージョンの楽曲を設定してプレイできるため、ファンにとって大変嬉しい機能です。

安井氏:サウンドテストは、過去のサントラには収録しなかった音源も全部入ってます。ストーリー会話用のBGM音源まで入っているのでちょっとビックリしました(笑)。

例えばプロローグの曲(bless you! Boy)はステージがすぐ終わってしまい最後まで聞けなかったりしたんですが、サウンドテストでじっくり最後まで聞いて欲しいです。BGMカスタム機能もおもしろそうなので、みなさんで楽しみ方を見つけてもらえたらいいですね。

その他、今までXBOX360の特典にしか入っていなかった並木学さん(@manabunamiki)、細江慎治さん(@shinji_hosoe)、相原隆行さん(@J99aihara)のアレンジや、まもるクンは呪われてしまった!アレンジトラックス(CD)だけに収録のYack.こと渡部恭久さん(@Feldherrn)、齋藤博人(@hirotov)さんのアレンジも聴けます。これらがゲーム内に収録されて、ゲーム中のBGMとしてプレイできるのも嬉しいですね。

YO-KAI Discoの歴代バージョンを一挙収録した初回特典CD「YO-KAI Disco Full-Full Collection」もファンにはたまらないですね。

安井氏:YO-KAI Disco 祭りですね(笑) この曲のおかげで、まもるクンや僕のことを知ってもらえた部分もあるので嬉しい限りです。

僕は詳しくは知らない世界ですがMAD動画で使ってもらったり、結構マニアックなゲームなのに著名な方に聞いてもらえている事があったりと、だいぶ予想外な事がありました。

競走馬の名前にもなっていたとお聞きしました(笑)。

安井氏:そうなんですよ。お馬さんの横のゼッケンに「ヨーカイディスコ」って書いてあって…おもろっ!って(笑)、めちゃくちゃびっくりしました。

YO-KAI Disco って言いながら、実はディスコでもないんですが(笑)、曲名をあまり深く考えずに付けたのもよかったなって思いますし、ラッキーが重なった曲ですね。

おびるチャンネル様のYouTubeチャンネルにアップされていましたのでお借りしました。

クラリスショップで購入すると「YO-KAI Disco Full-Full Collection」のカセットテープも付属します。サウンドの違いが気になります。

安井氏:今作のカセットテープはまだ聴けていないのですが、以前「BATSUGUN サターントリビュート Boosted」で担当させて頂いたアレンジを特典のカセットテープで聴いたところ、やはりテープコンプのような音の違いはありましたね。

もうデジタルデータで音楽を聴くようになって20年以上になりますが、僕はその前のカセットテープ時代の音楽に受けた影響が大きいので、その時代と同じメディアで自分の曲が流れてくるのはなんとも感慨深いです。

日常的にはスマホやPCで音楽を聞けるのは便利ですが、カセットテープは手に取るとカチャカチャと音がして、音も微妙に歪んだりする不完全さがあるのが、今は逆に特別感も感じます。あと手のひらに収まるサイズ感でアルバムジャケットが描かれているのも可愛くて、机の周りに置いておきたくなりますね。

特装版特典CD「まものろKAI! NEW THEME & RARE TRACKS」収録のボーナストラック”MEI-KAI Fever -VocalMix-”について

安井氏:新曲”MEI-KAI Fever”はインスト曲として作っていましたが、仕上げていく中でだんだんとアニメのオープニングのようなイメージが湧いてきてボーカル版にしてみたくなったので、製品に関係なく趣味的に作ってみていたところ、特典CDで収録してもらえました。

ボーカルはSynthesizer V2 AI 宮舞モカとMai 2で、歌詞はまものろの世界観をふまえてChatGPTやGeminiも利用しながらまとめたんですが、なかなか面白く作れたので気に入ってもらえると嬉しいです。

それは楽しみですね!安井さんの楽曲は歌詞が乗りやすそうな曲が多いと感じています。

安井氏:インストのメロディでも感情を乗せて歌ってみたり、息継ぎポイントを意識したりはします。歌モノも大好きなので今後も作っていきたいですね。

中編へつづく

安井洋介出演の音楽イベントを開催!【まものろKAI! ~ リリース記念パーティー「YO-KAI Disco Fever」】

  • 日時:2025 9/26(金) 19:00~
  • 場所:パームス秋葉原
  • 出演:安井洋介、細江慎治、佐宗綾子、ヨナオケイシ、渡部恭久 -Yack.-

チケット好評発売中! https://t.livepocket.jp/e/yokaidisco/

まものろKAI!〜まもるクンは呪われてしまった!〜(2025年9月25日発売!現在予約受付中)

2008年にゲームセンターで登場し、「呪い」を駆使した独特の駆け引きと、ポップでキュートなキャラやBGMで人気を博したグレフのシューティング『まもるクンは呪われてしまった!』が現行ハードで復活。

ストーリーモードは新たにワイド画面に対応!ギャラリーモードやオンラインランキングも搭載。

歴代ゲームモードや追加キャラクターを全収録し、好きなバージョンのBGMで遊べるカスタム機能と、全BGMが視聴できるサウンドテストを新規実装。

そして、原作コンポーザー・安井洋介による新テーマ楽曲も収録!

まものろKAI!〜まもるクンは呪われてしまった!〜(シティコネクション)

安井洋介

安井洋介(@yousukeyasui
主にゲームの音楽や効果音を作るサウンドクリエイター。
DJとしてイベントにも参加するなど幅広く活動中。
代表作に『まもるクンは呪われてしまった!』、『エスカトス』、『ギンガフォース』、『ナツキクロニクル』他。

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まものろが現行ハードに対応し復活!さまざまなパワーアップした機能に、最新の楽曲や特典も多数。必見です。

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