【PR】Acon Digital Acoustica 7.3レビュー

Acon Digital 社のAcousticaは波形やスペクトルの編集、ノイズ除去などオーディオ修復ツールと、コンプ/EQ/リバーブなどエフェクト、マルチトラック編集といったマスタリングやポストプロダクションにも最適な機能を備えた、オーディオ編集の統合ソフトウェアです。

オーディオ修復ツールといえば、iZotope RX が圧倒的に有名ですが、より広範囲に対応可能という点で、SOUND FORGEなどとも競合になるといえます。

既に世界中のレビューで非常に高い評価を得ている本製品ですが、筆者はiZotope RXを普段使用しているので、RXに取って代われる製品なのか、もしくは他の場面で役立ちそうか、という視点でレビューしたいと思います。

Acon Digital Acoustica 7.3

音・性能・特徴・使い方

Acoustica v7では「Standard」と「Premium」の2つのバージョンがあります。

基本的にはDAWと同じようにホストアプリケーションとしての使用が前提ですが、Premium版ではDAW内でプラグインとして各ツールが使用可能です。(VST、VST3、AAX、AU)

また、Acoustica内で外部プラグインを呼び出すことも可能です。

統合ソフトウェアということもあり非常に多機能ですが、できることの分類としては大きく5つあります。

  • オーディオ復元
  • スペクトル編集(Premium版のみ)
  • エフェクト処理
  • マルチトラック編集
  • 解析

オーディオ復元

バックグラウンドノイズ、クリック音、クリップ歪、高域の補修などが可能です。Premium版には会話音声とノイズを分離するポスプロ用途のツールもいくつか付いてます。

iZotope RX と比較の際はここが一番気になると思いますが、ノイズ除去のクオリティは非常に優れていて、RXと同等レベルと感じました。

しかも、ツールのほとんどにスペクトラムアナライザーがついているので、ノイズを探す作業も難しくありません。

「Vitalize」というツールでは高域の補強が可能で、例えば録音環境の問題で高域が削れてしまった素材に対して
EQで上げた感じとは違う効果で、高域を復元してくれます。

また、これはAcoustica全体に言えることですが、プレビューをクリックして再生されるまでの遅延がほとんどなく、チェック作業が非常にスムーズです。

この点は、処理によっては結構な遅延が発生するRXよりも優れてるといえます。

単純なツール数ではRXに及びませんが、基本的なノイズ除去には問題なく対応できます。

スペクトル編集(Premium版のみ)

PremiumとStandardの大きな違いとして、スペクトル編集の有無があります。

これによって通常の波形編集では行えない、特定の帯域だけに編集が行えます。

ノイズ成分は特定の帯域に発生しているケースが多いので、
細かいノイズ除去を行いたい場合は、Premium版が必須となってきますね。

ブラシ、フリーハンド、自動選択などレタッチツールも一通り揃っているので
違和感ない処理が可能です。

エフェクト処理

コンプ、EQ、マルチバンドコンプ、リミッターからリバーブ、コーラス、ハーモナイズまで基本的なツールが揃っていて、全てリアルタイム処理が可能となってます。(EQとマルチバンドコンプはPremium版のみ)

2mix音源からボーカルやドラムなどを抽出できる「Remix」機能もあります。

各エフェクトはナチュラルな掛かりのものが多いので、どちらかというとナレーションや動画編集などポスプロに適してると思います。

また、前述の通り外部プラグインも使用可能なので、DAWでトラック処理をするのと全く同じ感覚で作業できます。

使い道としては、ノイズ除去したデータに手持ちのコンプとEQを掛けてみてノイズが残ってないかの確認ができたりします。

これをDAW経由となると、ノイズが残ってたときに再度ホストアプリで除去→DAWで確認となり、かなり面倒なんですが、ワンストップ対応できるのはありがたいです。

iZotope RX でも外部プラグインの使用は可能ですが、リアルタイム処理はできないのでこの部分はAcousticaが一歩有利です。

マルチトラック編集

トラック数無制限でマルチトラック編集機能を有しているので、DAWのようにミックス作業も可能です。

リアルタイムエフェクト処理、オートメーション、クロスフェード作成、ループ作成などが可能ですが、全体的な操作性は一般的なDAWより融通が効かない部分が多く、正直使い勝手としてはいまいちです。

とはいえ、数トラックを簡易的にまとめるなどには使えるので、例えばティーザー動画用のクロスフェード作成だったり、複数の音声素材をひとつにまとめるなど、普段DAWをメインに使わない動画編集者の方などには十分な機能だと思います。

解析

スペクトラム、スペクトログラム、ウェーブレット解析などのツールと、ラウドネスメーター、トゥルーピークメーター、スペクトラムアナライザー、位相メーターなど必要十分なアナライザー類が用意されています。

改善してほしいポイント

修復ツールなどにアクセスするのに、毎回上部タブをクリック→ツールをクリック、の動作になるのが煩わしく感じました。

iZotope RX だと画面右側にツールが全て視認できるので操作性はRXに軍配が上がるかと思います。

また、画面左下のメディアブラウザでファイルを探す際、日本語のフォルダやファイルは文字化けします。(Mac/Win両方で確認)

これは日本ユーザには結構クリティカルな問題だと思うので、アップデートで改善に期待したいです。
(微力ながらAcon Digitalに改善要望を出しました)

CPU負荷

CPU負荷は軽めの部類です。DAWでプラグインとして「DeNoise2」を10個挿したときに5%程度です。

OS : macOS Big Sur 11.4
CPU : 3.6 GHz 8コアIntel Core i9

メモリ : 40 GB 2667 MHz DDR4
DAW : Cubase Pro 10.5
バッファサイズ : 512samples
サンプリングレート : 48kHz
ビット解像度 : 32bit float
オーディオIF : Antelope Discrete 8 SC

まとめ

ノイズ除去やスペクトル編集の品質は高く申し分ないのですが、RXとの比較となると細かい操作性や文字化けの件で、既にRX Standard以上を所持している人が移行するのは厳しいかな、という印象です。

とはいえ、コストは定価でRX Standardの半額以下、外部プラグインのリアルタイム処理は結構便利なので独自の使い道はあります。

基本性能は高く、オーディオ編集全般で活躍の場がある製品なので、RXでうまくいかない場合の一手としてもアリですし、RX Elementsのみ所持の方や、ノイズ除去ツールを所持していない方には導入メリットは大きいかと思います。

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