マスタリングEQ、Pulsar Modular P440 Sweet Spot EQレビュー

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Sponsored By Pulsar Modular

もしかすると、皆さんはあまり聞き馴染みがないかもしれません。Pulsar Modular というプラグインデベロッパーをご存知でしょうか?

ほとんどの方はしらないかもしれませんし、Pulsar Audio? なら聞いたことがあるという人もいるでしょう。似てますが違います。

Pulsar Modular は他を圧倒的に凌駕する高品質プラグインを提供するプラグインメーカーであり、他のメーカーとは異なる視点をいくつも併せ持つ製品をこれまで発表してきました。特に P Series は世界中の音楽人を驚愕させ、その音質は製作のトッププロ層も称賛しています。

今回 Pulsar Modular はマスタリング用途に使える P440 Sweet Spot をリリースし、Version Up も控えています。

また 6/15 からセールが始まりますので、是非チェックしましょう。

目次

P440 Sweet Spot EQ

Overview

あなたは「マスタリング」と聞いて、どんなことを想像しますか?

音楽制作を始めた当初は非常に曖昧な印象となんとなく非常に崇高な制作過程であると漠然と感じていたかもしれません。

つまり非常にとらえどころがなく曖昧で実際には何をしたらいいのかすらわからない、そんな印象すら持ったこともあるでしょう。

しかし、あなたはおそらく以下のようなことを何度も聞いたことがあるでしょう。
「マスタリングで劇的に変わった」「マスタリングで劇的に良くなった」まるで魔法のような言葉を聞いたことがあるかもしれません。

その魔法のような効果を生み出すのはもちろん、マスタリングエンジニアの腕にかかっているのですが、例えばマスタリングエンジニアが魔法を使うときに使用する「魔法の杖」とは「イコライザー」のことなのです。

イコライザーがマスタリングにおける重要なファクターであることは言うまでもありません。

プラグイン構造

基本 3 バンドの EQ に LF SHELF、HI SHELF、PHF、LPF という、これまた基本形の構成。ステップ式ノブに対して更なる微調整が可能になる FINE TUNE スライダーが各ツマミに付属。周波数選択、Q 幅、GAIN にさらなる自由度を提供します。

そこに独自の TREMOR ツマミがあり、更に補助的な機能として、TX、Dual Mono、HW、MOD、BIAS、TIBO、SAT、SOUL、O2 等のオプションが非常に豊富にあります。

一つ一つの機能全てが実用的であり、購入したらマニュアルを必ず読むことをオススメいたします。プラグインを購入したのに、アナログ機材を買った気分になりました。

音や性能

このプラグインはあくまで新設計のデジタル版 マスタリンググレード EQ であり、デジタルオーディオ理論や数学的な特定は普通のアナログ機材と同等だと思われます。

特性だけを見たらアナログのほうが良い場合もあるでしょう。他のリニアフェーズ EQ などと同じような数学的なレベルにはありません。ただし、このプラグインはそういうものではありません。測定数値とは関係のない別次元にいる EQ であり、簡単に音源を崩壊させることも可能です。

EQ 設計者が耳で調整した EQ であり、全ての特性を内包しつつ、EQ をマスタリングでも利用できる状態のものであり、考え方やワークフローはアナログ機材を使うときと同じ様に考える必要があります。100% この EQ を利用すべき選択があるわけでもなく、選択肢の一つとして考える必要もあります。

音自体は非常に些細な変化しか与えないパラメータばかりであり、使う人の耳と感性に委ねられます。

EQ 自体の構造や性能はおそらく他の EQ とはそこまで変わらないと思いますが、全体の設計の素晴らしさ、音は驚愕に値するでしょう。使い方は人それぞれになります。

開発者にインタビュー

今回、いい機会だな、と思いましたので Pulsar Modular の主任設計者、Ziad Sidawi さんに
簡単なインタビューを行いました。製品のレビューは動画でも補完できるため、動画では説明しきれない、設計者の考えを聞けるいい機会だと思いますので是非お読み下さい。

Q. Pulsar Modular について簡単に教えてくれますか?

私達はプラグイン市場に参入するのに 20 年は遅れてしまいました。現在市場は過密状態で 90% にも達する値引きの嵐が吹き荒れています(笑)ただし、1 つだけ私たちにとって味方がいました。プラグインはハードウェアほど優れていないが、コストが大幅に低いことをユーザーは理解し受け入れました。ここで我々は、ハードウェアと同等かそれ以上の優れたプラグインを提供できると確信しており、今まさにそれを行っています。

Q.なぜこの P440 という EQ を作ることになったのですか?

この EQ は開発には Robb (Robbinson Mastering Owner) が関わっています。ある時、彼を発見し、彼のコメントが的確で、説明も言葉も共感できるものでありました。

そこで、彼にマスタリング EQ の共同開発をしないかと尋ねたところ、彼はそのアイデアを気に入ってくれました。彼自身も現在入手可能なアナログスタイルのマスタリング EQ プラグインに満足していなかったので、Pulsar Modular の P11 Abyss に搭載されていた EQ を元にコラボして、それらを凌駕しようとしました。

彼は 100 万円するような Sontec EQ をはじめとする本物のハードウェア EQ を複数持っており、P440 が彼のハードウェア EQ のクオリティに匹敵するか、それを超えるかどうかを確認する良い実験台となりました。Robb との最も印象的な出来事は、私が Tremor を作ったこと、7.83Hz とアースフリークとヒーリングのアイデアを話したとき、彼は特別な PEMF マットレスを持っていて、毎日仕事の後に使っていると答えてくれたことです。

Q. このプラグインは何の目的で作られたのでしょう。

私たちは、ミキシングにも使える高品質なマスタリング EQ の必要性を感じていましたが、チューニングとレンジはマスタリングエンジニアを念頭に置いて設計されています。設計自体はマスタリングを念頭に置いていますが、もちろんミックスにも十分に役に立つでしょう。

P440 は私がデザインした他のオーディオ製品と同様にユニークな製品であり、いかなるハードウェアもエミュレートしていません。

しかし、どんなトップクラスのハードウェアにも対抗すると自身を持って薦めることができます。
P440 はマスタリング EQ であり、100 万円するような Sontec EQ と比較することができるわけです。

Q. TX – このボタンはどんな効果があるのでしょうか?

ハードウェアの機材に搭載されているトランスのことです。トランスが異なれば、ローエンドの音も違ってきます。私たちは、ユーザーにトランスを「変更」するオプションを与えました。

Q. MOD – この特徴的なサウンドの元ネタはあるのですか?

改良されたトランスをベースにしており、よりパンチのある、よりアグレッシブなサウンドを実現しています。

Q. Dual MONO – 絶妙なステレオイメージを再構築するもので、非常に気に入っています。これについて何か意見はありますか?

実際のハードウェアでは、ステレオ機器を構築する場合、左チャンネルと右チャンネルを構築する必要があります。どんなに良い部品を使っても、抵抗やコンデンサなどの公差を同じにすることは不可能で、そのため、左右のチャンネルには必ず差が生じます。このスイッチにより、P440 はそのような動作をするようになります。

Q. HW – 元になるようなアナログモデルがあるのでしょうか?

これは P440 内でデュアルモノを有効にする必要があります。実際のハードウェアは使用されていません。ハードウェアのクロストーク特性の多くをカバーする様々なフレーバーを提供するために、私は単に耳でそれをチューニングしました。

Q. BIAS – つまみは非常に微妙な変化を与えると思いますが、使いこなすのには何が必要ですか?

回路に信号を送り込む際の硬さ、柔らかさを選択することができ、その選択によって異なる結果をもたらします。Biasは、ステレオフィールドの要素を拡大したり、前に押し出したりします。

Q. TIBO and SAT (S) – これらはなにをするツマミでしょうか?

TIBO はTight Bass を司ります。ローエンドの情報を取得し、ステレオフィールドの中央に配置します。SAT は、中心に置いた低周波数を飽和させる可能性があります。SIDE HPFを押すと、事実上、この回路はローエンドのモノメーカーになります。

Q. O2 and SOUL – このノブには本当に魔法がかかっていますが、このSOULとO2にたどり着いた経緯を教えていただけますか?

オーディオハードウェアのマシンは、たとえどのツマミもダイヤルしなくても、それぞれ特徴的な音を持っています。そのため、多くのエンジニアは、何も加工せずにそのマシンの特徴的な音を得るためだけに、時々オーディオ機器にオーディオを通すのです。これを私は SOUL と呼んでいます。

そこで、EQ やコンプレッサーなど複数のマシンを作る代わりに、1つのマシン/プラグインで幅広い選択をユーザーに提供しました。あるソウルにダイヤルを合わせると、それに応じて回路の動作が変化し、同じマシンから様々な色を出すことができます。O2 は SOUL を拡張したものです。SOUL が提供するハーモニクスを受け取り、それを拡張するのです。

だから、O2 が機能するためには、SOUL が必要なのです。私のデザインでは、いつかのスピリチュアルなキューやテーマを取り入れ、オーディオ回路に実装するための自然な方法を見つけています。

Q. TREMOR – 通常のLOW EQではなく、ユニークな名前のTREMORノブにはどのような意味があるのでしょうか?

トレマーは振動し、それによって低域と中域を変化させ、音に息づかいや動き、生き生きとした感じを与えるようにします。

Q. Filter design – どのようにして 7.83 Hz という数字に到達したか教えていただけますか?

これはシューマン共振から導き出された値です。

Q. Proportional Q – よくあるアナログ EQ はブーストすればするほど Q が広くなる印象があるのですが、これについてご意見があればぜひ共有してください。

P440 では固定式と比例式の両方の Q 設計を行いました。ゲインを上げれば上げるほどQはタイトになりますが、Fine Tune Gain を使えば、現在の Q をロックして固定 Q のゲイン/カットを行います。

Q. Frequency step – 固定周波数を決める際に何を基準にしたのかエピソードがあれば教えてください。

固定周波数ステップに関しては、私の耳によって行われたものです。人々は少数の有名なオーディオデザイナーによる古いデザインをコピーしたプラグインを見るのに慣れているようです。

私の大きな疑問はオーディオデザイナーは恐竜のように絶滅したのでしょうか?

なぜ私たちは新しいデザインを作るのではなく、コピーを続けるのでしょうか?

DSP は、ハードウェアの世界では禁止されているか適用できない無限の自由を与えてくれます。

では、なぜ私たちは WP や50年前に設計された物理的なハードウェアに限定し続けるのでしょうか?

問題は、プラグイン市場がプログラマーで過密であり、オーディオデザイナーがあまりいないことだと思います。そのため、彼らはリファレンスとロードマップを持つために物理的なハードウェアを追い求め続けています。

Q. Hi and Low Shelf – 独自のシェルビング構造ですがインスピレーションの源はありますか?

ローシェルフとハイシェルフについても同様です。

私にはダイヤルと自分の耳しかありませんでした。元のリファレンスを変更せずに強化する満足のいく結果が得られるまで、ダイヤルを動かします。

すべてのデータを P440 に入力した後、この独特な曲線を見たときは私も衝撃を受けました。もし私がシェルビングの段差を設計するときにグラフを見ていたとしたら、私の認識に影響を及ぼし、最終的にはそのような曲線には到達しなかったでしょう。

ビジュアルミキシングは、この業界にとって最も悪いことです。私たちは、耳ではなく目で見ることに大きく依存しています。

Q. なぜ Pulsar Modular のプラグインはハードウェアに匹敵もしくは凌駕する性能をもっているのですか?

なぜだかわかりません(笑)が、ほとんどのプラグインが既存のハードウェアをエミュレートしていることから、新たにオーディオ機器を設計する技術者がほとんどいないのかもしれません。

あるいはほとんどがプログラマーであり、オーディオ機器の設計者ではないのかもしれません。あるいは、私がたまたま特殊なケースなだけなのかもしれません。

Pulsar Modular P440 Sweet Spot EQ 製品ページ

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