sonibleのAI搭載リバーブsmart:reverbが、5年の歳月を経て、劇的に進化を遂げて「smart:reverb 2」としてリリースされました。
smart:reverb2では、ミックス全体の空間の統一感を作るために『クロスチャンネル処理』が採用されており、複数トラックに”インサート”して使うことで、smart:reverb 2 同士がお互いに情報共有して最適化できるようになっています。
結果としてマスキングを軽減し、ミックス全体の空間を”自動的に”バランスの取れた状態に保つという、AI処理をフルに使ったリバーブプラグインになっています。
『リバーブはセンドトラックで使用する』という従来の定石から脱却した本製品のファーストインプレッションをレビューさせていただきます。
[btn class=”rich_orange”]sonible smart:reverb 2の詳細はこちら[/btn]smart:reverb 2
本製品最大の特徴は冒頭でも触れた『クロスチャンネル処理』です。
複数トラックにインサートしてグループ化操作を行うことで、最大7トラックを一つのウィンドウで管理できます。
クロスチャンネル処理を最大限活用するには素材のラーニングが必要で、これにより音の前後感や質感調整を統括的かつ直感的に行えるだけでなく、AI処理によって自動的にマスキングが軽減され、空間の整合性や明瞭さを維持できる、といったものです。
リバーブの音色をトラック単体ではいい感じにできてもミックス全体で聴くとこもってしまう、あるいは特定のトラックだけ浮いてしまってバランスを取りにくい、といった問題を一気に解決できる革新的な機能になっています。
また、UIが一新されて、マトリクス上でリバーブタイプをブレンドして音作りできるようになりました。
こちらもグループ化したトラックは一括管理でき、距離感の調整と併せてメインで調整する箇所になります。
全体的な傾向としてはデジタル色のあるクリーンな音色であり、癖の強い音を作るよりもミックス全体の統一感を調整に最適だと思います。
「Color」「Clarity」といった初代から引き続き扱えるコントロールと、今バージョンで新たに搭載された「Manual Override」にてディケイやEQ、リバーブモードの手動調整ができますのでクリエイティブな音作りも可能です。
使用感や使い勝手
smart:reverb2の核であるグループ化によるクロスチャンネル処理は、トラックを馴染ませる用途には最適に感じました。
馴染みすぎて逆にリバーブ感がほしい時に物足りなさを感じる部分もありますが、そんな時は「manual override」からリバーブモードをReverseやBounceに変えて、クリエイティブな音作りもできるようになっています。
とはいえ基本的な音色はすっきりとしたデジタルリバーブ系統なのでどちらかというとミックス全体の方向性をまとめる時に活躍すると思います。
一点気になった部分としては、前バージョンではプリディレイを設定できましたが今バージョンではオミットされています。
ダッキング的効果の「Clarity」をコントロールできるので必要性を感じる場面は少ないですが前バージョンでプリディレイを使われていた方は注意が必要かもしれません。
CPU負荷
1つインサートでCPU負荷10%程度、5つインサートで20%程度でした。
これはリバーブプラグインとしても重たい方で、リアルタイムのAI処理が主な要因と思います。
インサート使用を推奨している製品なので、使用する際は上手くバストラックにまとめたりして工夫が必要かと思います。
- OS : macOS Sonoma 15.5
- CPU : Mac M2 12コア
- メモリ : 64GB
- DAW : Cubase Pro 14
- バッファサイズ : 2048samples
- サンプリングレート : 48kHz
- ビット解像度 : 64bit float
- オーディオIF : Prism Sound Lyra1
まとめ
リバーブをいくつか同時使用した時の濁りやマスキングは、ミキシングで必ず発生するといっても過言ではないので、それを自動的に回避できるsmart:reverb2は革新的で時短効果も非常に高いと思います。
これ一つでなんでもこなせるという訳ではないですが、馴染みやすさから活躍できる場面は多いですし、他のリバーブと併用すれば更に多彩な空間演出ができるので重宝すると思います。