【使い方のコツも解説】ミックスで音がこもる、キンキンする、そんな悩みを一発解決!oekSound soothe 2レビュー

2019年のリリース以降、レゾナンスサプレッサーの定番プラグインとして、プロエンジニアから圧倒的な支持を獲得し、次々と後続製品が登場してもなお、カテゴリのトップ製品として不動の人気を得ているのが、oeksound Soothe2です。

日本代理店のSONIC WIREでもプラグイン”総合”売上ランキングで常に上位に入るほど人気のSoothe2ですが、直感的な操作性とは裏腹に、購入された方の中には『いまいち効果を実感できない』『どうも音が劣化しすぎてしまう』など、使いこなすにはある程度慣れやコツも必要と思われます。

筆者も今でこそ毎回のようにSoothe2を使って重宝していますが、購入当初は良い塩梅を見つけれずに悩むこともありました。

そこで今回はSoothe2の機能をおさらいしながら、後続製品が登場してもなお選ばれる理由についてレビューさせていただきます。

Soothe 2

レゾナンスサプレッサーについて

Soothe2に代表される「レゾナンスサプレッサー」と呼ばれるエフェクト自体、比較的新しいジャンルのエフェクトです。

録音およびミックス時に生じる不快な共振(レゾナンス)を処理するため、従来は主にEQを使って該当周波数をカットしていましたが、時間を掛けて正確な周波数の判断が必要かつ、リアルタイムでレゾナンス周波数が変化するため全てのレゾナンスに対処することは非常に困難でした。

Soothe2の前身であるSootheは、リリースされた2016年では珍しかった「レゾナンス抑制の動的処理」に特化した製品で、以降同様の機能を持つプラグインを「レゾナンスサプレッサー」としてカテゴライズするようになったと思います。

つまりSootheがレゾナンスサプレッサーを定義した存在ともいえます。

そして2019年にバージョンしたSoothe2は品質と機能性が格段に向上、幅広い状況で扱いやすくなったことでユーザーから高く評価され、今日に至ります。

主な機能

Soothe2の主な機能は以下の通り。

  • イコライザー感覚で使用できる帯域調整ノブを搭載
  • Depth、Sharpness、Selectivityによる綿密な挙動調整
  • 「soft」「hard」の2つのディエッシングモードを選択可能
  • アウトプットは「Mid/Side」「Stereo」2つのモードを搭載。またステレオバランスも調整可能
  • サイドチェイン機能によって、プラグイン外からのインプットをレゾナンスの検出に利用可能
  • deltaモードで処理された音だけを聴いてチェック可能

また、最近ではAI動作の製品も増えていますが、Soothe2はAI動作ではなく全て手動です。

直感的な操作性に優れているので操作自体は難しくないのですが、冒頭触れたように『いまいち効果を実感できない』『どうも音が劣化しすぎてしまう』と感じてしまうこともあります。

恐らくそう感じてしまった方はいきなりプリセットを選んだり、とりあえず全帯域に掛けてしまっているかもしれません。

Soothe2を初めて触る方や過去使ってみていまいちコツを掴めなかった方は、是非公式のオンラインマニュアルをご一読いただくことをおすすめします。

マニュアルに記載の流れで処理すればカットしすぎたり狙ったところに効果が薄い、といったことにはなりにくいと思います。

https://oeksound.com/manuals/soothe2/

設定の流れとコツ

マニュアルのクリックスタート手順を引用して紹介します。

  1. まずは工場出荷時のデフォルトプリセットから始め、 Sootheの減衰が強すぎると感じるまでdepthを上げていきます。その後、depthを少し下げていきます。
  2. 入力素材に合わせてシャープネスを調整します。一般的な処理の場合はシャープネスを低くし、より特定の共鳴をターゲットにする場合はシャープネスを高くします。
  3. deltaを押して除去されたレゾナンスを確認します。
  4. 周波数グラフ上のノードを使って処理の焦点を絞ることができます。除去したい共鳴が聞こえるまで、特定の周波数領域をブーストします。
  5. deltaをオフにして、最適なdepth値を見つけます。
  6. 処理の結果を評価するには、bypassを使用します。

Soothe2にはソースに応じたプリセットも多数用意されてはいますが、個人的にはデフォルト状態もしくはプリセットの『Flat Start』から始めるのが分かりやすいと思います。

また、Soothe2を使いこなすポイントとしては、「やりすぎた状態を認識する」ことと「範囲を絞る」ことが重要だと思います。

Soothe2を掛けた結果の理想は、『掛けたかどうかわからないぐらい自然に除去されてる』なので、上記ステップ1にある通り、一旦効果が強すぎると感じるまで掛けてみて、やりすぎた状態を認識してそうならないように調整していけば、自然な処理になります。

範囲を絞ることも自然な処理には欠かせないポイントです。

ソースの中で最も不快なポイントを見つけて適量をカットすることで劣化やバランス破綻を最小限にできます。

周波数グラフで重みづけを調整することはもちろん、depth/sharpness/selectivity で挙動を微調整していけばほとんどソースで満足いく結果が得れると思います。

ただ、全てのソースに対しSoothe2を適用すれば良いかというとそうではありません。

他のエフェクトと同じように必要か不要かの判断は適宜行う必要があり、「特に目立ったレゾナンスはないけどインサートしておこう」だと不必要にソースのトランジェントや色彩を失うことになりますので、除去するべきレゾナンスがあるかの判断は必要になります。

oekSound Soothe 2

今なお選ばれ続ける理由

現時点でリリースから6年以上経っているSoothe2ですが、同様の機能性でコストパフォーマンスに優れた後続製品が次々と登場しても、その地位は揺らぐどころか益々盤石なものになっているように感じます。

筆者もレゾナンスサプレッサーをいくつか所有していてそれぞれ特徴はあるものの、一つだけ選ぶとすればSoothe2になるかと思います。

個人的にSoothe2を選ぶ理由は、

  • 処理精度が高い(自然な処理)
  • 操作性がスムーズ

この2つです。

ありがちな理由かもしれませんが、この2つを高次元でまとめ上げている製品は少なく、万人に受け入れられる直感的な操作性と、シンプルなステップで最良の効果を得れる精度の両立はSoothe2を唯一無二の製品にしていると思います。

また、DAWや環境との相性問題やバグが少ないこともプロから支持される要因として大きく、どんな環境でも安心して使える点は、類似製品に移行しても結局Soothe2に戻ったり、長年支持され続ける理由としては充分だと思います。

CPU負荷

オーバーサンプルなし、解像度normal設定時にCPU使用3%、オーバーサンプル4倍、解像度ultraだと25%程度でした。

品質設定で大きく負荷が変わるので状況に応じて使い分けが必要です。

  • OS : macOS Sonoma 15.6
  • CPU : Mac M2 12コア
  • メモリ : 64GB
  • DAW : Cubase Pro 14
  • バッファサイズ : 2048samples
  • サンプリングレート : 48kHz
  • ビット解像度 : 32bit float
  • オーディオIF : Prism Sound Lyra1

まとめ

処理精度、操作性、汎用性、即効性、とプラグインに必要な要素全てが高いレベルにあるSoothe2は、レゾナンスサプレッサーというジャンル内はもちろん、全プラグインの中でも優先して揃えたいプラグインと思います。

唯一のウィークポイントは類似製品に比べて高価なところですが、長年多くのプロから支持を得ている製品でクオリティは安心できるので、類似プラグインを試行錯誤するコストと時間を考えれば決して高くないようにも思います。

oekSound Soothe 2の詳細はこちら

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