湾岸ミッドナイトマキシマムチューン 6 RR楽曲制作インタビュー(前編)

大人気レースゲームシリーズ、湾岸ミッドナイトマキシマムチューン6RR(以下湾岸6RR)がリリースされました。

今回はエクステンドバージョンということで、既存の楽曲に加えて新たに5曲が追加。

YouTubeなどを中心にネットのアンダーグラウンドで流行している、フューチャーファンクや最新の音楽トレンドを取り入れたジャンルまでを網羅した、いずれもかなり意欲的な楽曲ばかりです。

その内容があまりにもチャレンジングなので、じっくりお話をお伺いしました。

作編曲を担当されたのはもちろんこの方、シリーズすべての楽曲を手がける古代祐三氏(@yuzokoshiro)と、レコーディング、ミキシング、筐体用マスタリングを手がけたquad氏(@quad_luvtrax)のお二人へのインタビューです。

楽曲制作については前編、使用した機材については後編ということでお送りしていきます。

目次

湾岸ミッドナイトマキシマムチューン 6 RR楽曲制作インタビュー(前編)

今回追加された新曲の目玉「Starry Night」は、フューチャーファンクのリミックスのために、生演奏の楽曲を作られるという前代未聞の試みで大変驚きました。公式サイトの古代さんのメッセージにあるとおり、バンナムさんからいつもと違う路線でというご依頼があり新しいジャンルに挑戦されたということですね。

Starry NightのFuture Funkバージョン。この曲を生み出すために生演奏の楽曲が制作された。

古代氏:簡単に湾岸マキシマムチューンの音楽の歴史をご説明しますと、元々はトランスだったんですよ。

当時「あいのり」(フジテレビで放送されていた日本の恋愛バラエティ番組)でトランスが使われていて、流行っていました。

そこで、ガチのトランスというよりも、もっと聴きやすいポップな路線を狙いたい、ということだったんです。

湾岸ミッドナイトRの方は、フュージョン系のサウンドで、ごった煮みたいな感じだったんですが、マキシマムチューンの冠を付けるにあたって、新鮮さをアピールしていきたいとことで、クラブミュージックのトランスにしようというところが出発点となりました。

湾岸シリーズは10年以上やっていますが、クラブミュージックも多様化して流行もその都度変化があります。

マキシマムチューンをリリースしてからはじめの5年くらいは、まだジャンルの流行り廃りがハッキリしていた気がするんですが、現在はクラブミュージックが無数にあって、旬なものはあるものの、わりと何でもアリな感じですよね。

なので、いきなり別のジャンルを持ってきても大丈夫だろうというのは、マキシマムチューン4くらいから実験を進めてきていて、分かっていたことと、ディレクターからの要望で、湾岸6RRではあえてトランスを外したい、変わった感を出したい、ということだったので。

6でもかなりEDM寄りにはなっていたんですが、更に変えたいという要望がありました。

前回、ユーロビートが好評だったのでどうですか?と提案したところ、おそらく他社ライバル製品を意識されてのことだと思いますが、それもナシでという話で(笑)

湾岸ミッドナイトマキシマムチューン6 の人気ナンバーLove And Gold

それで、色々と新しいクラブミュージックを漁ってみて、最近フューチャーポップとかフューチャーファンクとか、コアなマニア層ではあるんですが、海外を中心に広まってきているということで、quadさんと相談しながらやっていました。

要は、フューチャーファンクって80’sの日本のポップス、シティポップと言われているジャンルをクラブミックスしたものじゃないですか。

割とみんな目をつけてはいるんだけど、新しい切り口で出している人があまりいないと思っていて。

答えは簡単で、当時の質感とか、生楽器のアンサンブル感が必須になってくるんですよね。

それを作るのがめちゃくちゃ大変だしお金もかかるんです。デスクトップで作ろうとしてもいきなり作れるものでもないので。

Starry Nightのスコア。今回は特別に古代氏に公開の許可を頂いた。

これひょっとして、オリジナル曲作って、生演奏のオケ作って、ミックスしたら結構チャレンジャーじゃない?面白いんじゃない?ってquadさんと話をしていて、そういうことをやれたらいいねって話はしていたんですよ。

そこにたまたま、湾岸6RRの仕事がきて、サウンドリストもらったら5曲書いてあって、4曲目まで指定があるんですけど「5曲目は古代さんに完全におまかせします。お試ししたいことを放り込んでください」と書いてあって(笑)

これいい機会だから、フューチャーファンクでやってみようか、と。

簡単にデモ作って、バンナムさんに聴いてもらって、ジャンルの背景を説明(YouTubeのリンクを送ったり)して最終的にはこういう風に仕上げるので、原曲(シティポップ)はレースの雰囲気に合わないかもしれないけど、最終的には好きにやらせてもらっていいですか?ということとでOKを頂きました。

いろんな偶然が重なって実現したんですね。

古代氏:そもそも、昔のバンドサウンドを再現できる、そういうマインドを持ったプレイヤーさんと、それに理解があるエンジニアを見つけるのが大変なんです。そしてそれを録音できる環境ですよね。

たまたま世界樹の迷宮を通じて知り合ったプレイヤーさんがそういう方々だったんですよ。

世界樹の迷宮のほとんどのシリーズに関わって頂いている、キーボード、ベース、ギターの彼らだったら間違いなく出来るだろうと。

管弦のセクションもここ何年か一緒にやらせて頂いている素晴らしい方達がいて、彼らと一緒にやれば必ずできると自分の中で計算ができてたんです。

そういう方達との繋がりがあるというのが大きな要因でしたね。

quadさんから、しっかりした80’sシティポップには、プレイヤーの演奏のテクニックが非常に重要だとお伺いしていました。

古代氏:それはもう必須です。それが向いてるか向いていないかというのは直感なんですよね。

彼らは私よりも10も20も若く、おそらく80’sリアルタイム世代ではないので、そこまで当時の音楽に触れていないと思うんですよ。

かつて、日本のスタジオミュージシャンが触れてきているジャンルは、洋楽のジャズやファンクだったり、そういうところに原点を持っているんです。

もちろん若い方でもそういうものを持っている方がいて、そういうところに共通項があるんですよね。

今回お願いした方達は、そういうものを持っているなという私の直感で、できそうだなと思いました。

そして、それは結果としてハマってるので間違いなかったなと。

シティポップといえば、山下達郎さんとか、竹内まりやさんとかその辺が有名ですが、私は松原みきさんが好きで。

7〜8年前から聴いていたんですけど、最近流行ってると知って「えー、今流行ってるんだ」って。

じゃあ80’sシティポップをレースゲームに載っけていけるのかな?って。

クルージングには向いてると思うんですけど、湾岸ってコンマ1秒を競ってチューニングガリガリやっていくのに向いてるのかなって心配だったんですよ。

原曲はある程度メーカーさんにアピールできるようなジャンルにもっていかないとNGでちゃうんじゃないかな、と思ってディスコよりにしたんですよね。

竹内まりやさんみたいな曲だと、ディスコよりとは言えないので、当時の曲の中でディスコ寄りのものを選んだんです。

これもたまたまなんですが、筒美京平さんが大好きでYouTubeに筒美京平さんの作品を並べている動画があるんですけど、その中に大橋純子さんがいたんですよね。

私は大橋さんが活躍されていた時代は小学校高学年か中学に入るかくらいで、あんまりよく知らなかったんです。

大橋純子さんと言えば「シルエット・ロマンス」が有名でこの曲だけは知っていたんですが、「たそがれマイ・ラブ」に一発で引き込まれたんです。

そこから大橋純子さんのCDを買ったり、色々調べたりするきっかけになりました。

彼女のバックバンド(美乃家セントラル・ステイション)のバンドマスターが夫の佐藤健さんで、そのバンドの音とかアレンジがすごく気に入ったんです。

海外のシティポップのファンもそこをすごくリスペクトしていて、大橋純子さんのミックスとかたくさんアップされているんです。

ああ、感じるものはここなんだなって。かなり大橋純子さんのサウンドを参考にしました。

この方向性だったら多分NG出ないだろうと、結構ノリノリの曲が多いので、これをリミックスしたら湾岸でもハマるだろうと計算して。多分聴いて頂ければわかるはずです。

1曲のために2曲作る(しかも生演奏)、ネットで流行している音楽ジャンルというか、文化をゲーム音楽に取り入れるというのは、古代さんの新しいものが好きという好奇心の部分も大きく影響しましたか?

古代氏:もちろんですね。そこはいつも思っているんですが、必ずしも仕事で出来るわけではなくて。

昔はそこで暴走してしまったために、あまりよくない結果になってしまったこともあるので(苦笑)

そんなことはないと思いますが(笑)

古代氏:まぁ後年評価されてきていて、良かったなっていう話はいっぱいあるんですが、当時は物議を醸したというのもいっぱいあるので。

そういう思いもあったので、近年は自分の中で抑えながらやっているというか。

チャンスがあったらやろうという感じで、今回はたまたまチャンスがあったということですよね。

今回、5曲目に指定がないというのはまさに(笑)

古代氏:好きなことをやってくださいと書いてあったので(笑)

湾岸きっかけで、フューチャーファンクというジャンルへの入り口にもなるのではないかなとも感じます。

古代氏:そうですね、フューチャーファンクを辿って、当時の素晴らしいクオリティの楽曲を知っていただけるといいなという思いもありますね。

奏者の方にはリミックスするために作る、というコンセプトは事前にお伝えされていたのでしょうか?

古代氏:もちろん伝えました。

リアルタイム世代ではない方が多いので、全員が理解してくれたかどうかは分からないんですが。

管楽器の方は40オーバーの方が多くて、仕事でもムード歌謡とかのお仕事もされていたので、すごくよく分かって下さったんですよ。

リードトランペットの伊計博司さん(@irochi_tp_y_flg)にメンバーを集めてもらったんですけど、たまたまそういったことに詳しい方々ばかりで。

お仕事で様々な曲をプレイされることが多いと思うんですが、非常によくわかってくださって。演奏も「シティポップはこういう感じで吹いた方が良いですよね?」ってめちゃくちゃノリノリでプレイしてくれたのが大きかったですね。

スコアに書いている以上のものはプレイヤーのスキルやノウハウに委ねるので、そこを理解してくれているかどうかというのは非常に大きいです。

ボーカルもSAK.(@39diva)さんが湾岸5の時から一緒にやらせてもらってるんですけど、この方は80’s曲のボーカルが向いてるなと、ずーっと思ってて、いつかやれたらいいねって、SAK.さんともお話をしていたんですよ。

たしかに、すごく80’sの雰囲気ですよね!

古代氏:最近、ポップスの中でも割と若い人向けの曲って多いですけど、昔って割と大人向けの曲って多かったと思うんですよ。

そういうボーカルの曲を自分でも作りたいなと。むしろそっちの方が好きなので、アダルトな女性感のあるボーカルを歌って頂ける人だな、っていうのはずっと思ってました。

それで今回、機会があったのでお願いさせて頂いたんです。

ご本人もリアルタイム世代ではないんですが、当時の楽曲を好きで聴いていて、歌い方を変えないといけないと「80’sっぽい歌い方にしました!」って言ってましたね。

quadさんの80sお気に入りアーティストは?

古代氏:quadさんはバリバリ世代ですよ(笑)

quad氏:山下達郎さん、竹内まりやさん、吉田美奈子さん、荒井由実(松任谷由実)さん、大貫妙子さんはもちろん、エピックソニー黄金期の EPOさん、大江千里さん、岡村靖幸さんといった方々、もう少し時代が進むと高野寛さん、古内東子さんなど色々聞いていますね。

ここまで進むとJ-POPと呼ばれてくる時代 ですが、年代を意識して聞くことは無かったですね。

当時は、今でいうシティポップとして意識していたわけではなく、その時代に聞いていた曲という感じで、はっぴいえんど、 シュガー・ベイブ、YMOというような流れの中で自然に聞いていました。

また、アレンジャーの方々のクレジットは当時からチェックしていて、林哲司さん、船山基紀さん、大村雅朗さん、清水信之さん、小林信吾 さんなど本当に数えきれないですが、アレンジでどういうサウンド作りをしているのかという部分は当時から興味がありました。

今でもそうですが、気になった曲のカラオケバージョンはジャンル問わず必ず聞くので、スタジオでのサウンドメイキングをどうやって いるのか知りたい気持ちがあるのだと思います。

シティポップを再確認したのは、5〜6年前位から海外の人たちがシティポップと呼ばれる音楽を評価していると知った時に、 これはいわゆる和製AOR的なものが海外の人たちには、ある種の新鮮さとノスタルジーや、異国情緒的な感じといった 一言では言い表せない感じに聞こえたのだと思いました。

私は以前から元々Nu Discoの持つAOR的な側面は知っていたので、Nu Discoのサウンド作りについては知っていたのですが、 サウンド的も近いにフューチャーファンクはシティポップとは相性が良いことはすぐ理解できました。

今回、シティポップをやるのにあたっての第一印象は「(企画として)よく通ったな」と(一同笑)

quad氏:5〜6年くらい前から、古代さんと「クラブミュージックの次のサウンドは?」ということで話をしていました。

80年代の日本のシティポップを勝手にサンプリングして作っているヴェイパーウェイヴ、フューチャーファンクみたいなジャンルが海外のアンダーグラウンドで、YouTube、ネット媒体メインで流行っていると。

ネット媒体メインで流行っているようだ、ということとそのサウンドを分析してどういう意図がそこにあるのだろうか、ということを 古代さんにお話しました。

古代さんも興味は持って頂いたんですけど、果たしてゲームミュージックとして使えるのかという。

今回のようにサンプリングするためだけに、まず原曲になるシティポップを1曲完全に作ってからフューチャーファンクを作成するというのが よく通ったなと(笑)

オリジナルバージョンは、ゲームでは使われないだろうと思っていましたが、納品するギリギリでスタッフロールで使用することに決まって、無事使われました。

元ネタを作ってリミックスするというのは、なかなかありません。

いわゆる”フューチャーファンク風”ではなく、制作手法まで同じように古代さんが行っているという、リアルなフューチャーファンクですよね。

これは相当珍しいし、2回目があるのかと言われると難しいだろうとは思います。

時間などもかかりますし、フューチャーファンクの意図を関係者の皆さんに理解していただく必要もあったので、大変な案件だったと思います。

古代氏:そうですね、1曲発注だったら無理だったと思います。

アレンジをするにあたって、ジャンルの作法などそういった部分を知るためにかなり聴き込んだりしましたか?

古代氏:あまり聴き込んではないんですよ。曖昧な状態の方がオリジナリティが出るというか。

ただ、クラブ的な手法は湾岸でずっとやってきているので、テクニック的なところは何をやれば良いかっていうのはわかっていたんですよ。

最初に作ったバージョンは、でもやっぱり原曲の良さ残したいよなってことで控えめだったんです。

そうしたらquadさんが「もうちょっとエフェクト突っ込んでも良いんじゃないですか?」と言われて。

じゃあもうちょっと手を入れてみるか、ってことでいい感じのバランスに仕上げました。

フューチャーファンクとかフューチャーポップって、原曲を知っているからグチャグチャにしても成立するっていうのがあるじゃないですか。

今回は、初めての曲だから最初からグチャグチャにし過ぎちゃうと「何の曲?」ってなっても困るなと(笑)

なので最初は控えめでしたけど、意見をもらいながらやっていきましたね。

quad氏:フューチャーファンクを聞くとわかるんですが、特にボーカルへのダッキングが意図したのかどうか分からない位にキツいので すけれど、それが独特の雰囲気になっているんですよ。

80年代に大ブレイクしたアイドルユニットwink「淋しい熱帯魚」のフューチャーファンクカバー。キツめのダッキング(サイドチェイン)もフューチャーファンクなどのジャンルの特徴のひとつだ。

古代氏:歌消すわけにはいかないっすよね、初めての曲なんだからっていう(笑)

quad氏:最終的に出来あがったものは、ちゃんとフューチャーファンクとして成立する要素が入ったものでした。

スタッターエフェクトもやり過ぎは良くないというお話だったんですが、僕が思っているよりも入ってました。

ピッチシフトも最終的に取り入れて、想像以上に攻めた仕上がりでした。

フューチャーファンクはBPMも速いし、素材のキーをかなり上げている味だったりするんですよね。

ですが、ボーカルのSAK.さんにも悪いし、というお話もしていたところ、原曲がスタッフロールで使用されるということが決まったんです。

そこで、最後の最後で1音、素材2MIXのピッチを上げようという話になったんですよ。

そっちの方が良いなと思いましたし、極端に変わる感じでもなかったので、すべてが奇跡的に納まったというか。

最終的にスタッフロールに原曲が使用されるというのがまたドラマですね。

Starry Nightの日本語バージョン。Future Funkバージョンの元となった英語バージョンもサントラに収録されている。

古代氏:原曲は「使えそうなところがあったら使ってください」とお話はしていたんです。

最終的には、使われないかもしれないと思っていたので、原曲に対しては慎重な姿勢でいこうと。

ですが、スタッフロールに使われるということになったので、じゃあもう少し突っ込んでも良いかなと。

quad氏:フューチャーファンクはクラブミュージックなので、湾岸ファンに当然受け入れられると思ったんですが、80年代のシティポップバージョンが良いですねっていうのが意外でした。

古代氏:スタッフにおっさんが多いんです(一同笑)

そこも古代さんの計算だったんでしょうか?

古代氏:そこは計算じゃないです(笑)

現在チャレンジしてみたいジャンルなどはありますか?

正直、ほとんど網羅しているので…。

今回もう一つチャレンジしたのが、Coming to Youなんです。

あの曲は湾岸の中で一番テンポが遅いんですよ。

あの曲が目指したのは、ビルボードで流れるような、コマーシャルミュージックというか、洋楽ファンが聴いているようなそういうジャンルです。

エド・シーランとかマルーン5とか、ブルーノ・マーズを念頭に入れてて。

作詞とディレクションをお願いした日比野 則彦さんに「ブルーノ・マーズみたいな人が良いです」ってお願いしました。

いつも湾岸シリーズでお願いしている、Jeff WashburnさんがR&Bもテイストのボーカルもいけるということだったのでお願いしました。

パッと聴いた感じ、正直ゲーム音楽っぽくないですよね(良い意味で)

予想以上にコアな湾岸ファンからも好評だったComing to you。

古代氏:そうですね、踊る曲ではあるんですけど、ドライブだったら完全に流しです。

リリースしてみて、評判をエゴサしてみると「これは流しに使える」っていうふうに理解してくれている人が多くて。

タイムトライアルに命を懸ける人、チューニングに命を懸ける人、流している人、というふうに、湾岸って色々な遊び方ができるんですが、そういう需要にハマった感じがありました。

いきなり結論みたいになっちゃいますけど、自分が過去に(新しいことに)チャレンジすると、だいたい最初受け入れられない、ということが多かったんです。

なので、今回はかなり、ギリギリレースゲームになるようなテンポ感とか、リズムのとり方とか、ユーザーに届くように頑張りました。

バンナムさんには好評だったんですが「どうかな?」と思っていたところ、ユーザーの皆さんが結構分かって下さってて。

湾岸って若いプレイヤーが多いんですよ。

今の人ってYouTubeとか、Twitterとかで情報がたくさん入ってくるので、ある程度下地が出来ているんですよね。

なので(今までと異なるアプローチにも)抵抗感が薄いなぁと、これもアリだよねと思ってくれう人がすごく多くなったなぁと、30年キャリアやってきて、本当に最近感じます。昔は拒否感凄かったですから。

スタッターとか、フィルターの処理とか、音楽をあまり知らない人は「あれ?音おかしくない?飛んでない?」とか言う人もちょっと前まではいたと思うんですけど、最近ではそういう風に違和感を感じる人は少なくなってきたかもしれませんね。

古代氏:本当に抵抗感が減ったと思いますね。

quad氏:ネット上のコメントを読んでも、皆さん色々な音楽を知っているなというのと、フューチャーファンクにしてもちゃんと分かっているリスナーが多いなと。

どの曲に対してもそうなんですけど、相当理解があるんです。

湾岸6RRの新曲に関しては、ヴェイパーウェイヴの狙いがあるということも理解しているプレイヤーもかなりいます。

プレイヤーも若い世代が増えた影響だと思いますが、若い人たちがYouTubeなどでアンダーグラウンドな音楽をしっかり聴いているんだなというコメントが予想よりもありました。

古代氏:予想よりもありましたね。

quad氏:コメント読んでると相当詳しい人たちがいるんですよ。

古代さんも「みんながみんなアンダーグラウンドミュージックを聞いているわけじゃないでしょう」って仰ってたんですけど、意外と違和感や抵抗感がなくすんなり受け入れられたなと。

Starry Nightがチャレンジ枠だったので、その他はしっかり狙って固めるという方向だったんですが、どの楽曲もユーザーにちゃんと伝わってました。

古代氏:K-Popみたいと言うコメントが一番多かった(笑)

あとは三浦大知さんっぽいというのが圧倒的に多かったです。それから洋楽っぽいねというコメントですね。

quad氏:嬉しいですよね。ちゃんと洋楽のやり方でミックスをしているので。

エンドユーザーまで意図が伝わってますよね。古代さんの意図が恐ろしいほどに伝わってハマったなと。

古代氏:今回は変化球なんですよ。だけどストライクゾーンに行くように変化球を投げてるんです。

それがちゃんとユーザーにハマったなというのは、リリース後のコメントやTwitter上での情報でわかりましたね。

アーケードゲームとコンシューマーのゲームファンの違い、音楽の接種の仕方も違いというのもありそうですね。

古代氏:湾岸をやりたい人って、ハンドル握ってペダル踏んでというゲームなので、運転するのが好きとかレースが好きとかいうのと、あとは筐体にスピーカーが付いているので家よりは圧倒的に臨場感があるじゃないですか。

そういう部分は非常に大きいですよね。

後編へ続く➡︎湾岸ミッドナイトマキシマムチューン 6 RR楽曲制作インタビュー(後編)

湾岸ミッドナイトマキシマムチューン 6 RRサウンドトラック

湾岸ミッドナイトマキシマムチューン 6 RRキャスト

Vocal  Jeff Washburn (Coming to You)

Lyrics 日比野則彦 Norihiko Hibino (Coming to You) @norihikohibino

Vocal/Lyrics  SAK. (Starry Night) @39diva

Drum 岡島俊治 Toshiharu Okajima @Okajimahal

Bass 棚橋俊幸 Toshiyuki Tanahashi @Turner_Music

Guitar 國田大輔 Daisuke Kunita @DaisukeKunita

Keyboard Ayaki Ayaki @ayaki_piano

Trumpet 伊計博司 Hiroshi Ikei @irochi_tp_y_flg

Trombone 前田大輔 Daisuke Maeda @maecchi822

Sax 大堰邦郎 Kunio Ozeki @KunioOzeki

Violin/Viola テイセナ Sena Tei @teisenavn

Violin/Viola 青柳萌 Moe Aoyagi @popuri_vn

Score 羽田二十八 Nijuhachi Haneda

Recording/Mix quad @quad_luvtrax

古代祐三

古代祐三@yuzokoshiro

主にコンピューターゲームの音楽を手がける作曲家、ゲームプロデューサー。 ゲーム制作会社株式会社エインシャント代表取締役社長。 代表作に『イース』、『イースII』、『ソーサリアン』、『アクトレイザー』、『シェンムー』、『湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE』、『世界樹の迷宮』他。

■駆け抜けろ!!300km/hオーバー

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quad

quad@quad_luvtrax) 

レコーディング・Mix・楽曲制作をはじめ、マスタリング、PA、スタジオプランニング等幅広い分野で活動。リモート環境でのオンラインミックスダウン、オンラインマスタリングも対応しています。

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