DOTEC-AUDIO DeeMaximizerレビュー

国産デベロッパーDOTEC-AUDIOのDeeMaximizer は、自然で強力な音圧が得られる同社のフラグシップマキシマイザーです。

32バンドの内部処理によってスムーズな音圧を生み出すことが可能になっており、操作性もシンプルながら細かい調整も可能になっています。

DeeMaximizer

DOTEC-AUDIO社はマキシマイザー製品をいくつかリリースしており、どれもシンプルな操作性は共通しているのですが、フラグシップモデルとなるDeeMaximizer は、調整できるパラメータが比較的多く様々な楽曲に最適化できるようになっています。

基本的な操作は中央の大きなダイヤルでゲインを上げていくのですが、これだけで高品質かつ十分な音圧を得れるようになっています。

このスムーズな音圧アップが本製品の特徴で、積極的にリダクションさせても破綻しにくく、透明性とパンチ感のバランスが上手く取れていると感じました。

このスムーズさのポイントになっているのが、内部的な32バンド処理にあります。

その他のDeeMaxシリーズに比べて処理バンド数が格段に多くなっていることで、帯域の飽和状態を防ぎ、音圧レベルを上げやすくなっています。

また、実際のマスタリング作業ではコンプやマキシマイザーを複数個使うことも多いですが、DeeMaximizer のキャラ付けが少ないサウンドであれば、どの製品にもマッチしやすいかと思います。

更にセッティングを詰めていく際には、左側のコントロール部分で調整していきます。

  • Release:短いほど音圧が上がりやすく、長いほど歪みにくい
  • SoftKnee:値が大きいほど圧縮がスムーズになり歪みにくい
  • CH Link:値が大きいほど左右またはミッドサイド間の同期が強くなる
  • SoftClip:値が大きいほどアナログっぽい歪みを足す
  • Safeボタン:ONにすると音圧より歪みにくさを優先する

また、Outputの右側にあるMonitorスイッチをONにすると、音圧を上げても聴感上の音量が変わらないので、音質変化や歪み具合を判断しやすくなり便利です。

解説動画ではジャンルの違う3つの2mix素材に対してチェックしてみましたところ、-6LUFS程度までならどの素材でもスムーズに音圧を上げることができました。

コンプと組み合わせることで-4LUFS程度まで上げても破綻しないことも確認できましたので、音圧アップに悩まれている方は是非動画もご覧いただいて、DeeMaximizer の性能を確かめていただけると幸いです。

改善してほしいポイント

近年のマキシマイザー/リミッターにはラウドネスメーターが付いてるので、数値だけでも表示されていれば、なお便利だと思います。

メーター非搭載の件について、開発者のフランク重虎氏よりコメントを頂戴しました。

ラウドネスメーター等を搭載しなかった理由は複数あります。 まずDeeMaximizerには単体での使用に加えて、他のマキシマイザーの土台と限界も上げるというコンセプトもあります。 そのためアフターにプラグインが入った時にラウドネスを測る場所ではなくなるからです。 (通常は最終アウトで測ります) もう一つ大きな理由として、レベルメーターは必ずアーティスト個々に使い慣れたプラグインがあるからです。 また、メーター挙動の差もあり、一度使い始めたメーターを途中で変えることはリスクに感じるため、同じ製品を使い続けます。 さらにメーター要素全ての見やすさが重要なため、不足なく搭載するとプラグインのUIとして一回り二回りも大きくなります。 実際に多くのマキシマイザーについてるラウドネスメーターは参考値として使われ、メーター専門のプラグインで再確認している方が多いです。 処理の理由では、最終的に書き出しを行う時に通常はDAWのメーターの示す値になるためDAWの特性で値に差が出てしまう場合もあります。つまり精度が落ちる事になります。 これはメーター専門のプラグインにも言える問題ですが、DAWの標準搭載したメーターより見やすいなど、メータープラグインを使うメリットが多々あるのはもちろんです。

CPU負荷

CPU負荷は特別軽くはないですが、許容できる範囲だと思います。筆者環境では1つインサートで負荷は10〜15%程度でした。

  • OS : macOS Big Sur 11.4
  • CPU : 3.6 GHz 8コアIntel Core i9
  • メモリ : 40 GB 2667 MHz DDR4
  • DAW : Cubase Pro 10.5
  • バッファサイズ : 1024samples
  • サンプリングレート : 48kHz
  • ビット解像度 : 32bit float
  • オーディオIF : Antelope Discrete 8 SC

まとめ

シンプルな操作性で簡単に音圧アップできるので初心者の方にも扱いやすい製品と感じました。

調整パラメータの数も多くもなく少なくもなく、ちょうどいいです。

DAW付属のマキシマイザーだと音圧が上がらず悩んでる方や、高性能マキシマイザーはパラメーターが多くて難しいと悩んでいる方におすすめです。

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