DOTEC-AUDIO DeeCompressorレビュー

国産デベロッパー DOTEC-AUDIO の DeeCompressor は同社のコンプレッサーDeeComp のリニューアル製品で、新たに開発されたアルゴリズムにより、さらに高品質かつパワフルで馴染みの良いコンプレッションが可能になったとのことです。

使ってみた印象としては、その特徴ある硬質なGUIデザインとは裏腹に万能的に扱える製品と感じましたので、各機能や特徴をレビューしていきたいと思います。

DeeCompressor

音・性能・特徴・使い方

DOTEC-AUDIO社の製品は、どれもGUIデザインが特徴的です。

個人的にプラグインのGUIデザインは音質とは無関係ですがかなり重要と感じていて、『触りたいデザインかどうか』がフェイバリットになるかの最後の基準になっています。

その観点でみるとDOTEC-AUDIO社の製品は、ぱっと見ゴツゴツしているデザインでこれまでは少し敬遠したのが正直なところです。

ただ今回、実際に製品を触ってみると意外に扱いやすく、コントロールも分かりやすく並んでるので、デザインを気にすることなく快適に操作できました。

なので同じようにデザインで敬遠している方がいらっしゃれば、「ご安心ください」と最初に言っておきます。

DeeCompressor の音質は、クセの少ない素直なサウンドだと思いました。

今回ドラムとボーカル、2mixに掛けてチェックしてみましたがどの素材にも違和感なく、正確に掛かってくれる印象です。

デジタルコンプにありがちな、クリアだが味気ない音ではなく、若干の倍音付与が生じることで、変に音が引っ込むこともありません。

強く掛けると硬質にぎゅっと音が詰まってくれますし、軽く掛けた際はコンプを通してないぐらいのクリアさを維持してくれます。

他のプラグインと組み合わせる際も相性を気にすることもなく、ミックス/マスタリング問わず万能的に扱えると感じました。

主な機能

  • コンプレッサーに求める厚みのあるサウンド
  • アタック、リリース共に0msから設定可能
  • レシオは0.5:1までサポート
  • HPF,LPFフィルターを搭載
  • M/Sモードとチャンネルリンク調整
  • 幅広いKNEE設定
  • オートリリース
  • サイドチェイン
  • リミッター搭載
  • ゼロレイテンシー動作

デジタルコンプとして過不足ないコントロールが用意されているので幅広い状況に対応できます。

レシオ0.5:1設定はトランジェントを強調したい際に役立ちます。

M/SモードでCH LINKをゼロにするとMidとSideが独立して動作するので、2mixの音像を自然に広げたい時に特に有効です。

アナログモデリング製品にあるようなグルー効果とは違ってクリアな音像なので、全体的な質感を変えずに2mixに厚みを出したい時に最適です。

リミッターも付いてるので音を張り付かせるような処理もできます。

また、ゼロレイテンシー動作なので楽器録音時にインサートしてもレイテンシーが発生しないところも嬉しいところです。

改善してほしいポイント

Kneeのコントロールがデシベル表示だけなので扱ったことがないとイメージが湧きにくいかもしれないですね。

0.0dB表示でハードニー、つまみを上げるとソフトになっていくので、両端にHとSの表示があればなお良いかなと思いました。

CPU負荷

CPU負荷はかなり軽いです。筆者環境で10個インサートしたところ、負荷は3%程度でした。

  • OS : macOS Big Sur 11.4
  • CPU : 3.6 GHz 8コアIntel Core i9
  • メモリ : 40 GB 2667 MHz DDR4
  • DAW : Cubase Pro 10.5
  • バッファサイズ : 1024samples
  • サンプリングレート : 48kHz
  • ビット解像度 : 32bit float
  • オーディオIF : Antelope Discrete 8 SC

まとめ

分かりやすい操作性で、各トラックの処理からマスタリングステージまで幅広く対応できる国産プラグインらしい万能な製品だと思います。

アナログな質感を付与したり、FETコンプのような個性的なサウンドメイクは難しいですが、逆に音を濁さず、質感を崩さずにコンプレッションさせることはアナログライクなコンプにはできないことなので、クリアに厚みを出せるコンプを探している人におすすめできる製品です。

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